SCool Out ! 2026 ―Make A History― 受賞者

 20226 8月2日(日)9:30~11:30、日本大学文理学部キャンパス3号館4階コリドールにて、高大連携歴史教育研究会 12 回大特別部会パネルとして「SCool  Out  !  2026―Make A Hisotry」を実施しました。「歴史を学ぶ」から「歴史で学ぶ」方向へと転換したいま、新しい歴史の学びは私たちにどんな変化をもたらしたのか。歴史を学んだ人々が、主体的な探究者表現者発信者となっていく変化を実感し、確認し合う場として、2025年にSCool  Out  !」はスタートしました。2回目となる今回も、たくさんの素晴らしいプレゼンターたちが集い、多彩なプレゼンが行われました。歴史に関わるエキスパート達による受賞したプレゼンに対するコメントをつけて、以下に列記いたします。改めてプレゼンターの皆様とこの企画の成功にご尽力・ご協力くださった皆様に感謝を申し上げます。

 SCool  Out  !  企画スタッフを代表して  向正樹 矢景裕子 矢部正明


優秀賞受賞者(敬称略・50音順)


     石山遼真(麻布高等学校)

明治期の日本から国家というものを見てみよう!【フリップ、展示】

コメント:ご自身の関心に基づき、しっかり仮説が立てられていました。そのうえで、一次資料の積み重ねから歴史の実態を明らかにできたら、さらに説得力が増すでしょう。

 

     岩佐智梨(神奈川県立横浜国際高等学校)

美術史の中の「現代美術」【フリップ、展示】

コメント:本当に取り組みたいことに取り組んでいるという思いを感じる発表です。大衆の思いが乗り移っているかの様な発表でした。「現代」や「現代美術」などの線引きは誰がしているのか、その線引きに「大衆」はそもそも関わってきたのかなどの点を、「大衆」の言葉を一次資料として語れたらなおよいと思いました。

 

     上田理彩子(立教大学大学院)

19世紀末から20世紀初頭のロンドンにおける慈善・教育・娯楽【ポスター】

コメント:娯楽・教育・慈善を行い、キリスト教をひろめていることが、丁寧にまとめられているプレゼンでした。

 

     遠藤雅司(音食紀行)

歴史料理【フリップ】

コメント:歴史を五感を通して学び、楽しむ内容のプレゼンでした。どんな匂いや味だったのかも気になりますが、それをどんな感情で食し、どんな場合にどんな食を選んだのかも気になります。食と健康の関係も気になります。広がりのある研究です。

 

     岡本潮(神戸大学附属中等教育学校)

『地理探究』の授業において世界史的内容・要素の取り扱いについての実践を通した考察【ポスター】

コメント:美術専攻のアイデンティティから見える歴史と地理への接近の違い、それが学問と生徒の関係にも及んでとても魅力的なプレゼンでした。

 

     尾花嘉月(中央大学)

「知られざる戦跡」文書と証言から知る陸軍船橋送信所の正体【フリップ】

コメント:復員にかかわった先生という点に歴史的価値を見出すとともに、戦跡マップを作成し全体の中に位置づけるという、社会的意義の大きい研究でした。

 

     北原圭太郎(東京大学教育学部附属中等教育学校)

ヒエログリフの活版印刷機【フリップ、展示】

コメント:聴衆の目の前で実際にヒエログリフの印刷を実演され、驚きました。理系の視点から歴史にアプローチする姿勢を学ばせてもらいました。実際に作ろうとしたら、どういう問題が生じるのか、その知見を共有していくことで、歴史をもっとリアルにつかみとることができるのかもしれません。

 

     齋藤優司・飯田智也(鎌倉学園中学校)

最強の城を攻めてみたら、やっぱり強かった件【ポスター・フリップ・展示】

コメント:発表者二人の掛け合い漫才のような説明が楽しかったです!石垣の模型も精密に作られていて、熊本城の難攻不落の様子がわかりやすかったです。

 

     佐藤未来・山澤憲治・片庭向日葵(明治学院大学)

石川県能登半島に関して演劇を行います。【芝居】

コメント:言葉よりもむしろパントマイムの身体の動きで表現する高度な芸術性をもつパフォーマンスでした。こういう歴史の表現があるのだと感心しました。震災という現実の課題を伝統文化とクロスさせている点が秀逸でした。

 

     鈴木政裕(金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校)

加賀国一向一揆の下剋上【ポスター】

コメント:地域の歴史に着目し、作られた伝統から脱却し、相対化しようとする試みは、加賀が好きだから、誇りを持っているからこそなせるわざでした。

 

     寺田羽吟(関西大学高等部)

なぜ運命の赤い糸は小指にあるのか【ポスター】

コメント:赤い色は見た目重視たっだのですね!調べたことが重層的につながっているのがよく分かるプレゼンでした。

 

     内藤咲愛(神奈川県立横浜国際高等学校)

大戦間期(1932~1938)オーストリアにおけるオーストロ=ファシズムの特異性はどのようなものであったか?【ポスター・フリップ・展示】

コメント:多くの文献を読みこみ、ドイツに併合されるオーストリア側の視点から、大戦間期の状況を浮かび上がらせるレベルの高い研究でした。

 

     畠山千鶴・早髙百香・長坂美咲(昭和学院高等学校)

近代化と私たちー「文明の使命」に潜む独善を現代の視点で紐解く【ポスター】

コメント:「私たちを包み込む綿は、ときに私たちに冷たさを見せる」は歴史の二面性をとらえたパワーフレーズでした。チームワークとミュージアム的演出が光りました。

 

     福島小埜子(東京学芸大学附属高等学校)

埴輪配列の解釈論とその手法【ポスター】

コメント:一部古墳の埴輪は宮内庁により研究を制限されている中、分析できる古墳を通して埴輪の配列を分析する、意欲的なプレゼンでした。

 

     福田勝世・宮下華佳・酒井言実(昭和学院高等学校)

歴史総合を学ぶー歴史から学ぶ、グローバル化との適切な付き合い方【ポスター】

コメント:食について様々な切り口から歴史をひもといていました。また、自分の関心が非常に明確なプレゼンでした。

 

     松岡昌和(大月短期大学)

感情史からみたシンガポール・マレーシアの歴史教科書における日本占領期【ポスター】

コメント:分析対象としての感情と、共感のための感情、感情の取り扱いの多様性が分かりやすく伝わってきました。

 

     三浦一乃(神戸大学附属中等教育学校)

変化する民話 :明治以前の『おむすびころりん』を求めて【ポスター】

コメント:元気のあるはきはきとした発表でした。物語を要素分解してみる視点が新鮮です。転がるモノで成立年代が分かるのですね。びっくりです。

 

     峯村真翔(都留文科大学)

戦争体験者が居なくなる中での平和教育・継承活動【フリップ】

コメント:アジア太平洋戦争の経験を伝えるのは、なぜ言葉だけではだめなのか。語りや文学から漏れてしまうものがあるからだということがよく分かりました。

 

特別賞受賞者(敬称略・50音順)


     秋枝律駆・福智漣・安齋慶悟・岡久晄(早稲田大学高等学院)

熊野信仰の始まりの歴史を民俗洞察する【ポスター】

コメント:「魔法人」というコンセプトで歴史と民俗を身体で表現していた姿がよかったです。熊野信仰に関する宗教的な側面だけでなく、文化、社会、言語などのさまざまな側面から分析し、まさに多面的な研究になっていました。聞いている側を楽しませる工夫もされており、非常に充実した発表でした。

 

     尾崎滉祐・長谷川楓・上田理彩子・鈴木明希・丸尾颯・邑上葵(立教大学大学院)

散策で見つける「人びとのなかの池袋」――池袋の歴史の地層をめくる歴史実践【ポスター、展示】

コメント:ZINE(ジン)という新たなメディアの活用の提案にとどまらず、「歴史学習の成果は本当に「文章」だけで評価されるのか?」という問題意識に深く共感しました。「歩ける場所」だけが歴史になるという発想を逆手にとって(あるいはその危険性を自覚した上で)、「方法論のパッケージ」として中高生たちに伝えてほしいと思います。

 

     小澤琉・上野志桜・徃西碧(私立成田高等学校)

墨塗りされた校友会誌の謎を追え‼【フリップ】

コメント:戦中校友会誌の墨塗りに注目し、その背景を探るミステリー的な歴史探究を展開が秀逸でした。デジタル化が進む現代に「実物」から独自の問いを立て、地域に眠る校・史学術資産を活用した点は今後の学習の可能性を示しました。「誰が」墨を塗ったのか、新たな問いも生まれました。

 

     落合瑛人(千葉県立八千代東高等学校)

佐倉の秋祭りと佐倉囃子【ポスター、フリップ、芝居】

コメント:佐倉囃子の迫力ある実演に圧倒されました。また、電柱設置や人手不足といった近現代の変化が祭りに与えた影響を丁寧に調査されていました。個人の関心を歴史の変遷に位置付ける、歴史総合の理念を体現した素晴らしい発表です。

 

     田中華深(札幌日本大学高等学校)

特権的教育と「戦後」の壁――193040年代の上海における教育経験が戦後日本での社会的再適応と上昇に与えた影響【ポスター】

コメント:家族と関わる歴史からひろがる世界に可能性を感じます。ファミリーヒストリーと国家の教育政策、ミクロとマクロの歴史の交錯する歴史を一次史料を使いながら考察することは、具体的な歴史を手許に手繰り寄せる試みとして注目される。

 

     朴俊厚・福島知乃心(東京学芸大学附属国際中等教育学校)

日韓歴史観を融合した探求型教育モデルの開発とその実証【ポスター】

コメント:異なる立場、異なる意見を持つ2人が、なぜ両者がそのような意見を持つに至ったかを教育に原因があると考え一緒に探究しているのが素晴らしいです。新しい歴史教育モデルの構築がとっても楽しみです。

 

     平川心音(常磐大学高等学校)

スーパー戦隊×歴史【フリップ】

コメント:戦隊もののような大衆文化を資料として選んだ度胸がいいですね!作品が生まれた当時の時代性を鋭く指摘する視点が素晴らしかったです。このまま「好き」を継続して、自身がその時代を表した作品を作る側・伝える側になってくれることを願います。

 

     松本智聖(神奈川県立横浜国際高等学校)

19世紀末〜20世紀中頃のアメリカの政策から見る政治と近代科学の関係性について【ポスター】

コメント:アメリカが国民国家としてどのように形成されていくか、科学者の役割に注目し、具体的な英字史料も使いながら考察したことに感服しました。報告者は理系志望であるため、当時の科学者の動機に関心をもったと語っていましたが、歴史的なテーマであっても「自分ごと」と位置づけて研究する主体的な姿勢を高く評価したいと思いました。

 

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